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自社株買いを発表した銘柄に対し、先行きの株価上昇を期待する市場関係者が増えている。高い株価水準では自社株買いを行わないというのが一般的であるため、自社株買いを実施する企業は先行きの業績見通しについて自信を持っているとの見方が背景にある。 日銀が今年10月から過去に買い取った銀行保有株を売却する計画があるなど、需給面が不安視される今年後半の相場において、自社株買いが株価全体のサポート要因になりそうだ。 ここにきて自社株買いの実施が目立ってきた。3月期の決算発表と前後して、主だったところでも、トヨタ自動車<7203>が決算を開示した5月9日に上限2500億円・3000万株の自己株取得を2007年6月の定時株主総会に提案すると明らかにしたほか、ホンダ<7267>、TDK<6762>、丸井<8252>、住友商事<8053>、みずほフィナンシャルグループ<8411>、富士通<6702>、住金<5405>など主力銘柄と位置づけられる企業の自社株買いの発表が相次いだ。 自社株買いが活発化している背景には、株主価値を高めることに前向きな企業が増えたためとの見方が多い。業績の上向きとともにキャッシュリッチな企業が増えるにつれ「モノ言う株主が増える中で、資金効率との兼ね合いで株主価値を高める必要性に迫られ、その施策として自社株買いを行うようになっている。同時に株価上昇につながるため、企業によっては買収防衛の意味合いも強いようだ」(準大手証券ストラテジスト)という。 実際、自社株買いを行う企業に対して市場は好感し、株価のパフォーマンスが向上するケースが目立つ。人気が再燃した鉄鋼株では、自社株買いを発表した住金が新日鉄T>の上昇率を上回った。 住金は5月29日、発行済株式総数の2.29%に当たる1億1000万株、取得総額700億円を上限とする自己株式取得を発表。その当日の終値640円から直近高値713円まで11.4%上昇したのに対し、出来高ランキングでトップを競った新日鉄は6.3%。「住金のパフォーマンスが勝ったのは自社株買いの発表が要因として大きい」(中堅証券情報担当者)との声も出ていた。 自社株買い銘柄の先高期待が大きくなる点について、岡地証券・投資調査室長の森裕恭氏は「自社株買いは、一般的に株価が高い水準では行わない。逆に言えば、業績が下振れして株価が下がる可能性が高い場合は現時点で行う必要はないため、見通しについて企業が自信を持っていることを示す」と指摘。さらに「公募増資など希薄化を生じさせるエクイティファイナンスをしない意思表示となり、買い安心感を誘う」と分析していた。みずほフィナンシャルグループのように、優先株の普通株転換に伴う希薄化を抑えるために実施するところもある。 一方、自社株買いは株式市場を覆う潜在的な需給不安を解消する材料になるとの見方も出ている。市場では、日々の相場において銀行等保有株式取得機構の売りが観測されることが少なくないが、加えて今年10月から日銀が銀行から買い取った株式の売却が開始される予定だ。これらの売りは数兆円規模に達するとみられるため「自社株買いが活発化すれば、機構や日銀からの売りの受け皿となり、マーケット関係者に安心感を与える」(丸三証券・専務の水野善四郎氏)という。 東証が公表している投資部門別売買動向で自社株買いは事業法人にカウントされるが「今年の前半は一昨年、昨年に比べて事業法人の買いが低調。ここにきて実施が相次いだことは、後半にかけて活発化を想定させ、株価押し上げ要因として期待ができる」(みずほインベスターズ証券・調査部部長の一尾仁司氏)との指摘もあった。 東証によると、3市場投資部門別売買動向で事業法人は、2005年が1兆3523億円、2006年が2兆0190億円、それぞれ買い越したが、今年は5月4週までの累計で3673億円の買い越しにとどまっている。 自社株買いを実施する企業は、株主価値の向上といった基本的な視点だけにとどまらず、需給不安も解消することなどから、先行き実施企業としない企業との株価のパフォーマンスに差が出るとみる関係者が少なくない。 【朝日新聞より】 <PR> かざか証券 |
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